「河川湖沼水環境保全及び水安全戦略技術交流会」の開催

 

中国水利省長江水利委員会(以下CWRCと省略)劉雅鳴(LIU Yaming)主任(副大臣級)が6人の代表団を率いて来日し、2016 412日に国立環境研究所(以下NIESと省略)を訪問した際に、「河川湖沼水環境保全及び水安全戦略技術交流会」をNIESにおいて開催しました。交流会では、NIESの住明正理事長とCWRCの劉雅鳴主任がそれぞれ開会挨拶を行いました。双方の機関長が共に1990年代から開始した日中共同研究及び研究交流を高く評価すると共に、東日本大震災の原因で中断となった研究交流を再開することが確認されました。 劉主任は、「中国政府は長江流域の生態系と水環境の保全を大変重要視しています。河川と湖沼を含む流域生態系の保全と修復を、長江経済帯の発展項目において最優先の事業として実施される予定です」と述べ、そのために、流域の生態系保全と改善において日本側の研究協力とさらなる交流を深めて行きたいと述べました。住理事長は、以上の分野においての協力・交流はもちろん、国際的にも注目されている都市・流域圏における水・エネルギー・食糧の連環(ネクサス)に関する研究も共同で行っていきたいと述べました。挨拶の後、NIES国際室の近藤美則室長とCWRC国際合作科技局の周剛炎局長は、それぞれ両機関がこれまで行ってきた研究協力や交流活動を振り返りながら、今後の展望を示した。

交流会の記念写真

研究発表の前、CWRCの劉主任が自ら長江流域における水資源の保全対策及び水生態系における修復技術及び今後の課題等における基調講演を行いました。また、NIES の地域環境研究センターの今井章雄センター長は基調講演の中で、富栄養湖沼霞ヶ浦における藍藻類ブルームに関する研究で得られた成果に基づいて、湖沼の水環境保全と修復のための新しい提言を行いました。

研究発表の中、CWRC側からは、水資源保護局の王方清局長が「長江流域における河川と湖沼の健全性評価及びその実証性について」、水文局の王俊局長が「水資源のモニタリングと予測」、水資源保護科学研究所環境研究センターの尹主任が「ダム型水源地沿岸帯の保全及びその修復技術」、及び漢江集団の胡軍総裁が「南水北調中央ルート開通後の丹江口ダム湖取水口の管理」について研究発表がありました。NIES側からは、王勤学主席研究員が「都市・流域圏水・エネ・食連環(ネクサス)の研究展望」、生物・生態系環境研究センターの野原精一室長が「放射線物質の拡散による流域生態系への影響評価」について発表しました。さらに、日本国土防災技術株式会社技術本部の李鴎次長より「環境、景観などを考慮した治山治水施設の設計事例」、埼玉大学/立正大学の元木靖名誉教授より「地域資源としての水をめぐる環境史―長江流域の上・中・下流部の事例比較―」の研究発表が行われ、幅広い分野での意見交換と議論が行われました。

交流会の様子

研究発表と総合討論の後に、NIESの原澤英夫理事が閉会挨拶し、改めて今後の日中間における研究協力と国際的な交流の必要性を強調した上で、劉主任の招聘要請もあり、将来NIESの研究者がCWRCへの訪問を検討したいと述べました。短い時間でしたが、多くの研究発表と活発な議論で予定時刻よりも大幅に遅れましたが無事に今回の交流会を成功裏に終了することができました。

以下は、本交流会の詳細な日程および交流の内容です。

 

河川湖沼水環境保全及び水安全戦略技術交流会

主催:日本国立研究開発法人国立環境研究所・中国水利省長江水利委員会

日程: 2016412日(火) (10:0017:00)

会場: 茨城県つくば市小野川16-2 日本国立環境研究所 温暖化棟交流会議室

司会  王勤学 (日本国立環境研究所 地域環境研究センター・主席研究員)

開会挨拶10001020、各自10分)

10:00-10:10  明正 (日本国立環境研究所・理事長)

10:1010:20  雅鳴 (中国水利省 長江水利委員会・主任)

記念撮影10201030

機関及び国際交流の紹介10301100、各自15分)

 10:3010:45 近藤 美則 (日本国立環境研究所 国際室・室長)

 10:4511:00  剛炎 (中国水利省 長江水利委員会 国際合作科技局・局長)

基調講演1100-1200、各自30分)

11:0011:30 劉 雅鳴(中国水利省 長江水利委員会・主任) 

長江流域における水資源の保全策及び水生態系の修復技術

11:30-12:00 今井 章雄 (日本国立環境研究所 地域環境研究センター・センター長)  

富栄養湖沼霞ヶ浦における藍藻類ブルームに関する研究

お昼休み1200-1300

研究交流13:0016:50、各自20分、質疑5分)

13:00-13:25 王 方清(中国水利省 長江水利委員会 水資源保護局・局長) 

長江流域における河川と湖沼の健全性評価及び実証に関する検討

13:25-13:50 王 勤学(日本国立環境研究所 地域環境研究センター・主席研究員)

都市・流域圏水・エネ・食連環(ネクサス)の研究展望―長江流域を例として

13:5014:15 王 俊(中国水利省 長江水利委員会 水文局・局長)

長江流域における水資源のモニタリングと予測

14:15-14:40 野原 精一(日本国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター・室長)

放射線物質の拡散による流域生態系への影響評価

休憩1440-1500

司会  李 鴎 (国土防災技術株式会社 技術本部 次長)

15:00-15:25 尹 (長江水利委員会 水資源科学研究所 環境研究センター・主任)

ダム型水源地沿岸帯の保全及び修復技術

15:25-15:50 李 鴎(国土防災技術株式会社 技術本部 次長)

環境、景観などを考慮した治山治水施設の設計事例

15:50-16:15 胡 軍(中国水利省 漢江集団・総裁)

南水北調中央ルート開通後の丹江口ダム湖取水口の管理について

16:15-16:40 元木 靖 (日本国立環境研究所・客員研究員)(埼玉大学/立正大学・名誉教授)  

地域資源としての水をめぐる環境史―長江流域の上・中・下流部の事例比較―

総合討論 (16:40-16:50)

閉会挨拶 (16:50-17:00

16:50-17:00 原澤 英夫 (日本国立環境研究所 理事)